スマートフォン版へ

全兄レッドセインツよりも大きく出たレッドライジェル

  • 2014年07月30日(水) 12時00分
ダイワズットラブ(牝 美浦・池上昌弘 父ハーツクライ、母ウインドヴェイン)
 母ウインドヴェインはアストンマーチャン(07年スプリンターズS-GI)の半姉にあたるため、スタミナを備えたエリシオ産駒でありながら現役時代はスピードタイプとして活躍し、全4勝を芝1400m以下で挙げた。繁殖牝馬としては現在4頭をデビューさせて3頭が勝ち上がり、残る1頭も新馬戦のみ出走して3着と悪くない成績だ。「ハーツクライ×エリシオ」はアドマイヤラクティ(13年ダイヤモンドS-GIII)と同じ組み合わせ。スタミナ色が強いだけに、本馬のように牝系からスピードを受けた配合は全体のバランスを考えると好ましい。芝中距離向きで大物感があり、重賞クラスの活躍が期待できる。

トーセンクローチェ(牝 美浦・小桧山悟 父ストーミングホーム、母マイネレジーナ)
 半姉マイネイサベル(父テレグノシス)は府中牝馬S(GII)、中山牝馬S(GIII)、新潟2歳S(GIII)を制した名牝で、母マイネレジーナは現役時代にクイーンS(GIII)と函館3歳S(GIII)で2着となった高い能力の持ち主。父ストーミングホームはMachiavellianを経てMr.Prospectorにさかのぼる系統で、サドンストーム(11年京王杯2歳S-GII・2着)、ストーミングスター(13年ニュージーランドT-GII・3着)、ティーハーフ(12年函館2歳S-GIII・3着)、マコトブリジャール(OP)、エリアコンプリート(準OP)が代表産駒。Mr.Prospector 2×3、Halo≒Sir Ivor 3×4というクロスの影響か、仕上がり早のスピードを武器としている。母は日本の古い牝系から出ているのでこの父は悪くない。芝向きのマイラーだろう。

リヴゴーシュ(牡 栗東・中竹和也 父ハーツクライ、母ライヴ)
 半兄エンリル(父ゼンノロブロイ)は準OP馬。2代母Bint Pashaは米三冠馬Affirmedの代表産駒で、現役時代にヨークシャーオークス(英G1)、ヴェルメイユ賞(仏G1)などを制した。この一族からはニシノエモーション(08年青葉賞-GII・5着)が出ているものの、平地重賞で馬券になった馬は出ていない。ただ、本馬はウインバリアシオン(14年日経賞-GII、11年青葉賞-GII)、コレクターアイテム(12年アルテミスS-重賞)、マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、ステラロッサ(11年スプリングS-GII・3着)、タガノミューチャン(13年フローラS-GII・5着)などと同じく「母方にStorm Birdを持つハーツクライ産駒」という配合。成功例が多い中距離配合なのでおもしろい。

レッドライジェル(牡 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母サセッティ)
 全兄レッドセインツは新潟2歳S(GIII)3着馬。4分の3姉レッドセシリア(父ハーツクライ)は阪神ジュベナイルフィリーズS(GI)で3着と健闘している。母サセッティは現役時代イギリスで5戦未勝利だが、その半姉Winonaは愛オークス(G1)を7馬身差で圧勝した名牝。母の父SelkirkはイギリスのマイルG1を勝ったスピードタイプだった。全兄レッドセインツは「Selkirk×Irish River」というマイラー配合の影響で1800〜2000m向きに出た。全弟の本馬も似たようなタイプだろう。全兄はデビュー時420kgという馬体重だった。本馬は450kgぐらいあるそうなので期待できる。ディープ産駒はとくに馬体重と馬のスケールが正比例する傾向が見られるので、馬体が少し大きく出たというだけで楽しみが増す。朝日杯→皐月賞の路線で期待したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング