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引退戦は走る? 走らない?

  • 2014年12月23日(火) 12時00分


平成元年生まれ以降の「JRA・芝GI馬」を対象に最後のレースの成績を集計してみた

 今年の有馬記念は、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナという大スターの引退戦としても注目を集めている。

 引退戦というと、デキと本気度(?)をいろいろと勘繰る向きも出てくるものだが、実際の成績はどうなのだろうか?

 平成元年生まれ以降の「JRA・芝GI馬」を対象に、最後のレースの成績を見てみよう。集計の都合で、カレンチャンやロードカナロアのような「最終戦が海外」という馬、イングランディーレのような「最終戦が地方」という馬も、とりあえずJRA最終戦が対象となる。また、JRA競走の芝GI馬が対象なので、ステイゴールドやシャドウゲイトのような、海外でのみGIを勝っている馬は含まれない。

 さらに言うと、「最後のレース」と「引退戦」は本来違うもので、前者=今回の集計対象にはアクシデントなどで不本意ながらも最後になった、というケースも含まれる。その辺りは峻別しようがないので仕方ない。

 先述した基準で集計した「GI馬、JRAでの最後のレース」、総合成績は[40-10-16-158]で、回収率は単144%・複68%。GII以下に出走した馬が単35%・複42%と足を引っ張っており(しかもイングランディーレのみなみ北海道Sを除くと複は35%)、GI出走馬は[33-9-10-94]で単203%・複82%となっている。

 回収率が高く見えるだろうが、実はクィーンスプマンテとソングオブウインドという、「人気薄でGI勝ち→その後海外が最終戦」という馬が押し上げている。JRA最終戦のあと地方や海外で走った馬を取り除く(香港で出走取消のエアジハードは残した)と、[24-6-10-85]で単97%・複60%。単は良いが複がだいぶ低い。ちなみに、該当レースが有馬記念だったケースは[4-2-2-24]で、単25%・複50%。

 ただ、引退レースが絶対にダメというわけではない。GIで1番人気になる馬は強い。全GIでは[14-3-3-7]で単110%・複88%。有馬記念は[4-1-0-1]だ。

 今回の2頭は1番人気になってもおかしくないし、ならなくてもおかしくない身。ただ、揃って1番人気ということはないわけだから、選択肢は「片方重視」か「両方切り」、あるいは「両方△くらいで妥協」。個人的にもこの3つの中で迷っている。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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