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レース回顧と後藤騎手と交わした最後の言葉

  • 2015年03月03日(火) 18時00分
小牧太

リクエストに応え各馬の将来性を語ります。また、後藤騎手と交わした最後の会話を明かしてくれました


今週特別登録しているカレンバッドボーイ、チェスナットバロン(鞍上未定)、2着続きのレジメンタルなどなど、レース回顧&ユーザーからのリクエストに応えるかたちで、各馬の将来性を語ります。また、2月22日の返し馬で、後藤騎手と交わした最後の会話を明かしてくれました。
(取材・文/不破由妃子)


人間の必死な気持ちは、馬にも伝わるんですわ



──先週は悲しい出来事がありましたね。今でも信じられません。

小牧 ホンマやねぇ…。27日の朝、関東の友達からのメールで知って。特別親しいわけではなかったんやけど、この前(22日)、京都に乗りにきたでしょう? あのときは少し話をしたんですわ。

──そうだったんですね。

小牧 朝、風呂場で会ってね。前の日に落馬があったから、「大丈夫か?」って聞いたら、ニコッと笑って「大丈夫です」って。で、彼は8R、9Rと2連勝したでしょ? だから、その後のレースの返し馬のときに「おめでとう」って声を掛けて。「これがあるからジョッキーは辞められへんねんなぁ」って言ったら、そのときもニコニコしながら「そうですね!」って言ってたんやけど。おそらく抱え込んでしまうタイプなんでしょう。ひとりで悩んでたんやろうね。今はただ、ご冥福を祈るのみです。

──はい。それでは今日は、2月中旬までレースを振り返っていきたいと思います。印象に残っているレースはありますか?

小牧 カレンバッドボーイ(2月15日・小倉10R・脊振山特別1着)は、意外な競馬やったね。レースを見ていると、いつも引っ掛かっていたし、それなのに外枠ばっかり当たっててね(脊振山特別含め3戦連続大外、近6走中5回大外)。だから、これはもう引っ張らずに乗らなアカンなと思っていて。この前(2015年1月12日・京都12R)も3番手で行きたがって、追ったら一切伸びんかったように見えたから、それこそ、ぶっ放して乗ろうかなぁくらいに思ってた。でも、今回は逆に、拍子抜けするくらい折り合いが付きすぎて。そのぶんエンジンがなかなか掛からんかったわ。

──確かに、今日は折り合ってるなぁと思いながら観ていました。最後はさすがの伸び脚でしたね。

小牧 あれはもう僕の気持ちです。勝たなアカンという気持ち。あの日は小倉で橋口厩舎の馬ばかり4頭に乗っていてね。チャンスのある馬ばかりやったから、どれかひとつでも勝っておかな…と思って、もう必死やったわ。だって、馬自体はそれほど動かんかったもん。でもそういう必死な気持ちって、馬にも伝わるんですわ。あの1勝はうれしかった。
※カレンバッドボーイは、3月7日・阪神9R・千里山特別に登録しています。

──続いては、2月1日の1000万(京都12R)を勝ったチェスナットバロン(3月8日・中山10R・上総Sに登録)。この馬について、「先日はとても強い競馬でした。まだ底を見せていないような気がしているのですが、小牧さんは将来性についてどう思いますか?」という質問がきています。

小牧 あ! あの馬、走るよ! レース前は1番人気になっているのを見て、“確かに力はあるけど、1番人気は荷が重いなぁ”と思ってたんやけど、終わってみれば強かったわ。強いよ、あの馬は。

──小牧さんが初めて騎乗された蹴上特別(2014年11月30日・京都9R)も、後方からすごい脚を使いましたよね。

小牧 そうそう。いつもは前で競馬をしてた馬やけど、あのときはたまたま出遅れて。そしたら、すごい脚を使ってね。この馬はじっくり乗ったほうがいいのかもしれないと思って、前回も中団からいったんやけどね。能力はすごくあると思う。僕の感覚だけど、まだ30キロくらい太いと思うよ。

──6歳ではありますが、長期休養が3回もある馬ですからね。伸びしろがあってもおかしくない。

小牧 うん。伸びしろは絶対にある。僕が乗れるかどうかはわからないけど、この馬は本当に楽しみですよ。

──最後に、レジメンタル(母レジネッタ)について、ユーザーからリクエストがきています。「7戦して2着4回と、もう一歩のところで勝ち切れない競馬が続いていますが、必ず最後は追い込んでくるように能力は高いと思っています。ここまで4戦騎乗された小牧さんの見解を聞かせてください」。

小牧 ああ、あの馬も走るね。でもこの前(松山騎手騎乗)も2着やったねぇ。僕が乗ったときも、すごく強い競馬はしてくれてるんやけどなぁ。なにが足りないのか…、ん〜きっかけひとつやと思うけど。ひとつ勝ったら、上でも通用しそうな雰囲気はあるからね。1600mあたりではちょっとしんどそうやけど、2000m前後なら将来性はあると思うよ。

小牧太

なにが足りないのか…、ん〜きっかけひとつやと思うけど…



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【次回の太論は!?】
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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