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直近のベストレース&ワーストレース「あれはうまく決まったね」

  • 2015年09月01日(火) 18時00分
小牧太

今回はジョッキー目線でベストレース、ワーストレースを振り返ります!


今回は7月後半からのレース回顧です。ベストレース、ワーストレースをジョッキー目線でじっくりと振り返るとともに、期待の2歳馬についてもその手応えを語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)


癖を知っているからこその勝利やね!

──中京2歳S以降、シュウジに関する質問がたくさんきています。そういえば今週、小倉2歳Sを岩田さんで使うんですね。

小牧 そうみたいやね。僕は早々にダコール(新潟記念)が決まっていたら、こればかりはもうしょうがない。先生にとっても最後の夏やし、チャンスがあれば使いたいやろうから。ここまでの2勝があまりにも楽な競馬やったからね。重賞でどれだけやれるのか、まぁ注目して見てますわ。

──シュウジについてはユーザーから、「シュウジは過去の名馬と比べてどうですか? 例えば、ダノンメジャーと比べて手応えはいかがですか?」という質問がきています。

小牧 ダノンメジャーとは、タイプが全然違うからねぇ。ダノンメジャーは普段からおとなしかったけど、シュウジはちょっとピリピリしてる。競馬ではおとなしいけどね。もちろん、2連勝しているわけやし、走るには走るよ。ただ、さっきも言ったように、まだ厳しい競馬をしていないから、半信半疑のところもある。気がいいし、返し馬からガツンとくるタイプやから、そのあたり、相手が強くなっていくなかでどう出るかやな。

──それにしても、中京2歳Sは力の違う競馬でしたね。正味1ハロンで3馬身差ですから。

小牧 なんせスタートセンスがいいからね。後ろからくる馬もいなかったし、すごく楽な競馬やった。マイルも問題なかったし、確かにあそこでは力が違ったね。

──2歳馬については、「ここまでデビューした2歳馬で、シュウジ以外で気になる馬、シュウジのライバルになりそうな馬はいますか?」という質問もきています。

小牧 そうやなぁ、びっくりしたのは九州産のキリシマオジョウやね(8月29日のひまわり賞も圧勝!)。全然自信がなかったから。

──1番人気でしたよね?

小牧 うん。でも、なんで人気しているのか全然わからんかった。一番最初に追い切りに乗ったとき、もうひとつやったからね。でも、芝に行ったら確かによかったです。レースに行って印象が変わったね。九州産のなかではズバ抜けてると思うけど、将来性については何とも言えん。手応えとしては、シュウジのほうが全然上やね。

──では、7月後半からのレースを振り返っていきたいのですが、まずはベストレースから。

小牧 佐世保Sのミッキーラブソング(次走北九州記念は松山騎手騎乗で5着)やね。あれは意外でした。うまく決まったね。

──しかし、追わせる馬ですね。

小牧 うん、出ムチを入れていったんやけど、それが正解でしたわ。僕ね、あの馬の癖をよく知ってるんですわ。だからあそこまで叩きながら行けたんやけどね。1200mじゃついて行かれへんと思ってたもん。だからこそ、バシバシッと叩いてでも付いて行かせたんやけど、結果的にそれが勝ちにつながったと思う。あとは馬場がキレイやったからね。それもあの馬にとってはよかった。荒れたらアカンよ。

──癖をつかんでいるからこそできた競馬ということですね。テン乗りだったらそうはいかない。

小牧 そうやね。テン乗りだったら、あそこまでビシビシできんわ。癖を知っているからこそできたという意味で、あれがベストレースやね。

──ミッキーラブソングは、小牧さんでしか勝っていませんからね。

小牧 なんせあの馬はズブいからねぇ。あと、サマーローズ(8月15日・小倉6R・3歳未勝利)もうまいこと乗ったよ。相手を見ながら、辛抱できるところまで辛抱して。ゴール前できっちりかわったね。でも、それまでも内に入ってしまって、目一杯追えんレースがあったみたいやね。跳びがキレイな馬やから、そうなると厳しい。だから、もともと力があったんでしょう。いい馬やで。

──続いては、ワーストレースをうかがっていきたいのですが。

小牧 ワーストレース……ああ、あった! 瀬波温泉特別のミキノハルモニー(8月16日・新潟9R・9着)。勝てたとまでは言わんけど、入着は十分あったなぁ。なんせあのレースは、前が見えなくて…(苦笑)。
小牧太

なんせあのレースは、前が見えなくて…(苦笑)



──前が見えない!? どういうことですか?

小牧 新潟のダートって、今すごいんですわ。砂が板に引っ付いてしまって、前が見えなくなる。それがわかっていたから、板を2枚付けてたんやけど、2コーナーで見えなくなったときにパッと板を取ったら、なんと2枚とも外れてしまって。全然見えなくなってしまった。それに1番枠だったでしょ。だから結局、内に入ったまま追えず仕舞いで。で、さっき大橋先生に、改めて「あのレースはどうしたん?」て言われてね。正直に話したら、笑っとったわ(苦笑)。

【次回の太論は!?】
この夏は、ご家族で大分や熊本へ温泉旅行に出かけたという小牧騎手。次回は、ご家族とのほのぼのとしたエピソードを披露してくれるほか、間もなく誕生日を迎える小牧騎手に、「48歳の決意」をうかがいました!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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