スマートフォン版へ

アルゼンチンの名牝から誕生したサトノダイヤモンド

  • 2015年09月02日(水) 12時00分
サトノダイヤモンド(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母マルペンサ)
 2013年のセレクトセール当歳で落札価格2億3000万円(税抜)。母マルペンサはアルゼンチン産で、コパデプラタ大賞(亜G1・芝2000m)、クリアドレス大賞(亜G1・ダ2000m)、ジルベルトレレナ大賞(亜G1・ダ2000m)と3つのG1を制覇した名牝。Northern Dancer 4×4の片方がDanzigを経ているという、いかにもディープインパクトに合いそうな配合だ。母の父Orpenはデインヒルと配合構成が似ており、その父LureはBertolini(ジェンティルドンナの母の父)と同じ「Danzig×Alydar」という組み合わせ。初子だけに手探りの部分もあるが、まともなら走ってくる。芝向きの中距離タイプ。

ソングライティング(牝 栗東・高野友和 父Giant's Causeway、母Embur's Song)
 母Embur's Songはカナダで生まれ、北米で13戦6勝。ダブルドッグデアS(米G3・AW8.5f)などを制し、加古馬牝馬チャンピオンに選ばれた。本馬が初子。今年3月、米フロリダ州で行われたファシグティプトンフロリダセールにてノーザンファーム代表の吉田勝己氏が80万ドルで購買した。ちなみに同セールで吉田勝己氏が購買した馬はよく走っており、過去にアジアエクスプレス、ゴールデンバローズ、アルビアーノが重賞を勝っている。「Giant's Causeway×Unbridled's Song」の組み合わせはブルーグラスS(米G1)とブリーダーズフューチュリティS(米G1)を制したCarpe Diem、レーンズエンドS(米G2)を勝ったHold Me Backと同じ。母の父Unbridled's Songはトーホウジャッカル(14年菊花賞-GI)、ダノンプラチナ(14年朝日杯FS-GI)の母の父でもあり、昨今ブルードメアサイアーとしての活躍ぶりが目覚ましい。芝・ダート兼用のマイラー。

ダノングランツ(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母マーキーアトラクション)
 母マーキーアトラクションは現役時代3戦未勝利に終わった。2代母Golden AttracitonはスピナウェイS(米G1)、フリゼットS(米G1)、メイトロンS(米G1)などを制し、95年の米2歳牝馬チャンピオンに輝いた。3代母Seaside Attractionはケンタッキーオークス(米G1)の勝ち馬。4代母Kamarと5代母Square Angelはいずれも加オークスを制し、加3歳牝馬チャンピオンに輝いた。代々一流の競走成績を残してきた名牝系に属している。「ディープインパクト×Storm Cat」の組み合わせはニックスで、キズナ、ラキシス、アユサン、リアルスティール、ヒラボクディープ、エイシンヒカリなど活躍馬が続出している。全姉マイアトラクションは現在3戦未勝利だが、血統的には申し分ないので、走るか走らないかは馬のデキひとつだろう。芝向きの中距離タイプ。

マイネルブランブル(牡 栗東・西園正都 父マンハッタンカフェ、母スターオブサファイア)
 母スターオブサファイアはザズー(11年ラスヴァージネスS-米G1、11年レディーズシークレットS-米G1)、Flashback(13年ロバートB.ルイスS-米G2)の全姉にあたる良血で、全日本2歳優駿(JpnI)で2着となったタップザットの4分の3同血でもある。Mr.Prospector 4・5×4、Nijinsky 4×4と、父マンハッタンカフェと相性のいい血を豊富に抱えており、Tapitの母 Tap Your HeelsはRubiano の4分の3妹なので、本馬は「マンハッタンカフェ×Rubiano」のエーシンモアオバーにも似たところがある。ダート向きのスピード血統だけでなく、底力に定評のあるRibot系のPleasant Colonyがサポートするのもポイントが高く、ダート向きのマイラーとして期待できる。

レッドゼルク(牡 美浦・藤沢和雄 父カジノドライヴ、母サセッティ)
 半姉レッドセシリア(父ハーツクライ)は阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)3着、半兄レッドセインツ(父ディープインパクト)は新潟2歳S(GIII)3着、同じく半兄レッドライジェル(父ディープインパクト)は青葉賞(GII)6着。兄姉はコンスタントに走っている。母サセッティの半姉Winonaは愛オークス(愛G1・芝12f)を7馬身差で圧勝した名牝。父カジノドライヴは兄弟に2頭の米クラシックホースがいる良血で、新馬戦を勝ったあとアメリカ遠征してピーターパンS(米G2・ダ9f)を勝った。日本ではフェブラリーS(GI)で2着となっている。馬体は典型的なパワータイプで、歩様のさばきも硬いため、ダート専用種牡馬かと思いきや、産駒デビュー第1号のコウエイテンマがいきなり芝で勝ち上がり、小倉のフェニックス賞(2歳OP)を5馬身差で圧勝した。とはいえ、基本的にはやはりダート向きの産駒を多く出すタイプだろう。本馬は父がダート向き、母が芝向きという血統。牡馬なので将来的にはダート向きになる可能性が高いのではないかと思われるが、2歳戦では芝でもそれなりにやれるだろう。距離はマイル前後が合っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング