欧州型の牝系ファミリーがタフな底力を伝える/高松宮記念
◆広がるエンドスウィープ系の原点帰り
1月28日の「シルクロードS」は、種牡馬アドマイヤムーン(その父エンドスウィープ)産駒の「ファインニードル、セイウンコウセイ、フミノムーン」が1〜3着を独占してみせた。
巨大な種牡馬群を築いたミスタープロスペクター系の中で、現在の日本で高い人気を誇り、かつ、さまざまな方向に枝を伸ばしているのが「フォーティナイナー→エンドスウィープ→(アドマイヤムーン、サウスヴィグラス、プリサイスエンド)」のラインであり、キングマンボ系と双璧に近い。
フォーティナイナーの枝は、同じような「巨大なノーザンダンサー系」の中で、さまざまな方向に枝を広げているダンチヒと同じなのだろう。「距離、ダート、芝」適性の幅を広げ、代を経るごとに絶えず変化している。ただし、根底に流れるスピード能力を失うことがない。だから、父系は存続する。
種牡馬エンドスウィープは、アメリカでも、のちに移った日本でも新種牡馬ランキング1位でデビューしたくらいで、仕上がりの早いスピード型を送り出す種牡馬と考えられた。実際、輸入されたサウスヴィグラス、スウェプトオーヴァーボード、プリサイスエンドなどは自身も産駒もそうだったが、エンドスウィープが日本に来て送り出した産駒はそうではなく、アドマイヤムーン、スイープトウショウ、ラインクラフトが代表産駒の筆頭だから、芝向きの、中距離型を送ることになったのである。
代表産駒として種牡馬となったアドマイヤムーンは、芝適性の高い馬を輩出するのは父エンドスウィープと同じだった。フォーティナイナー系にしてはダートは巧者ではない。だが、自身と同じような中距離型はあまり出すことがない。スピード型を送り、それはセイウンコウセイ、ファインニードル、フミノムーン、ハクサンムーンなど、自身とは距離適性の幅が異なる短距離タイプが代表馬なのである。
広がるエンドスウィープ(父フォーティナイナー)系は、こなせる距離の幅を広げるだけでなく、原点帰りするかのように、短縮に向かうこともあるのだろう。
そうとなると父系はさらに存続する。
ファインニードルは、ゴドルフィンの所有(生産)馬らしく、牝系ファミリーは典型的なヨーロッパ型なので、セイウンコウセイよりさらにタフな底力を秘める可能性が高い。前回はデキ、負担重量の差があったとはいえ、セイウンコウセイに完勝だった。
速いタイムも、前回のようなタフな芝も平気。ファインニードルの本格化に注目したい。
相手本線は、そのセイウンコウセイ。前回あたりから上昇カーブに乗り、今回は絶好調に近くなったと思える。タイムが速すぎると苦しいが、1分07秒台の後半なら十分に乗り切れる。同父系スウェプトオーヴァーボードの異端の傑作レッドファルクスが3番手。