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好マイラーとなりそうなアイムユアーズの初子ユアーズトゥルーリ

  • 2018年04月25日(水) 12時00分
≪2歳≫
●アメリカンウェイク(牝 栗東・斉藤崇史 父ハーツクライ、母アナアメリカーナ)
 半兄メイソンジュニア(父Mayson)はニュージーランドT(GII)2着、ファルコンS(GIII)3着など、スピードを活かして早い時期に活躍した。母アナアメリカーナはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)3着馬で、2代母、3代母もフランスで重賞を勝っており、牝系の質は良好。「ハーツクライ×American Post」の組み合わせはリスグラシュー(18年東京新聞杯-GIII、16年アルテミスS-GIII)と同じ。両者の血統構成を比較すると本馬のほうが血統的に素軽さが感じられるので、兄と同じく2歳の早い時期から活躍するだろう。確実性が高く重賞戦線でも期待できる。

●アルテヴェルト(牡 栗東・庄野靖志 父ハーツクライ、母アルテリテ)
 母アルテリテは現役時代に仏米で走り、ガーデンシティS(米G1・芝9f)を勝ったほか、サンタラリ賞(仏G1・芝2000m)2着、クイーンエリザベス二世チャレンジカップS(米G1・芝9f)2着などビッグレースで好走した。その初子が本馬。母の父LiteratoはチャンピオンS(英G1・芝10f)など4つの重賞を制し、仏ダービー(仏G1・芝2100m)でも2着となった活躍馬。ラストの決め手で勝負するタイプだった。上記のアメリカンウェイクと配合構成が酷似しているが、こちらのほうが適正距離は長めで、素質開花まで時間を要するかもしれない。将来的には中長距離の重賞で期待したい。

●ミディオーサ(牝 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母ミスエーニョ)
 ファンタジーS(GIII)を勝ったミスエルテ(父Frankel)の半妹、現3歳500万下ミカリーニョ(父ハーツクライ)の3/4妹。母ミスエーニョはデビュタントS(米G1・AW7f)を勝った一流馬で、名種牡馬Scat Daddyと配合構成がよく似ている。2代母Madcap EscapadeはアシュランドS(米G1・ダ8.5f)の勝ち馬で、その半妹にDubai Escapade(06年バレリーナBCS-米G1)がいる。牝系は華やかで活力がある。母の父PulpitはA.P.Indy系で、米リーディングサイアーに3回輝いたTapitの父。初期のディープインパクト産駒は母方にA.P.Indyを持つものが微妙な成績だったが、このところグングン成績が上がっている。初期と最近では繁殖牝馬のレベルが異なることが大きな理由だろう。リーマンショック後の景気低迷期に仕入れたアメリカ産の超一流牝馬群が本領を発揮しはじめている印象だ。このパターンから誕生したアルアインが昨年の皐月賞(GI)を制覇している。本馬は母方の近い世代にA.P.Indy、Mr.Prospector、Storm Catを抱えているのでハートレー(15年ホープフルS-GII)と配合構成が似ている。芝中距離タイプで仕上がりは早そう。

●ユアーズトゥルーリ(牡 美浦・手塚貴久 父ロードカナロア、母アイムユアーズ)
 母アイムユアーズは現役時代にフィリーズレビュー(GII)、クイーンS(GIII)連覇など4つの重賞を制覇し、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)2着、桜花賞(GI)3着など、GIでも上位争いをした強豪だった。本馬はその初子。「ロードカナロア×ファルブラヴ」の組み合わせはステルヴィオ(18年スプリングS-GII)と同じ。母はFairy King=Sadler's Wells≒Nureyev 2×4・5で、本馬はNureyevを内包するKingmamboを3×4でクロスさせている。父ロードカナロアはSpecial牝系のNureyevやFairy Kingと好相性を示しているが、ここまで極端な配合馬は初年度産駒にはいなかったので、どんなタイプの競走馬となるのか興味深い。「ダイナカール牝系+キングカメハメハ系」というパターンもドゥラメンテやルーラーシップなどの名馬が出ているので好ましい。芝向きのマイラー。

●レーヴドカナロア(牝 栗東・斉藤崇史 父ロードカナロア、母レーヴドスカー)
 母レーヴドスカーは現役時代にサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)を勝った一流競走馬で、日本を代表する名繁殖牝馬でもある。レーヴディソール(父アグネスタキオン/10年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、レーヴミストラル(父キングカメハメハ/15年青葉賞-GII、16年日経新春杯-GII)、アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス/09年青葉賞-GII)、レーヴダムール(父ファルブラヴ/07年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI・2着)、レーヴドリアン(父スペシャルウィーク/10年きさらぎ賞-GIII・2着)、レーヴデトワール(父ゼンノロブロイ/14年桜花賞-GI・5着)、レーヴァテイン(父ディープインパクト/16年青葉賞-GII・3着)、ナイアガラ(父Fantastic Light/06年すみれS-OP)など、上は全頭漏れなく走っている。本馬の父はロードカナロア。したがって、レーヴミストラルの3/4妹となる。この一族は脚もとに弱点を抱えているので、その点に問題がなければほぼ確実に走ってくる。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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