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【KYダービー予想】ケンタッキーダービー・血統分析

  • 2024年05月03日(金) 19時00分
今週末はケンタッキーダービー!
血統ビームを駆使した亀谷敬正の予想を重賞限定で公開!
鋭い着眼点に基づく見解は誰が読んでもタメになります。
以下よりぜひご覧ください。
亀谷敬正の予想を見る

スマートストライク血脈がケンタッキーダービーに強い理由


 昨年のケンタッキーダービーはウマい馬券で公開した最終予想で勝ち馬のメイジを本命。2着のトゥーフィルズを3番手に評価。

 メイジの単勝オッズはアメリカのオッズと比べると半分近くまで下がり、世界中で最も安い方のオッズになってしまいました。それだけ日本の馬券ファンのレベルが高かったということでしょう。もっとも、日本の馬券ファンの仲でも早朝の海外のレースを買ってメイジの単勝に大量投票するのは一部のマニアですから、日本の馬券マニアのレベルが海外よりも高いといえるのかもしれません。

 日本の血統馬券マニアが、ケンタッキーダービーで要求される能力の方向性、血統の傾向を知る大きなヒントになったのは、ヘイロー系のケンタッキーダービー馬、サンデーサイレンスを輸入し、多くの質の高い産駒を「世界屈指の直線スピードレベル」が発揮できる日本の芝競馬で見れたことではないでしょうか。

 サンデーサイレンス自身の適性の本質は、アメリカのダート中距離馬。東京の芝で直線スピードを最大限発揮する産駒を出すにはキレと「道中のタメ」を少し補う必要があります。その「タメ」を母方から強化してくれるのがフランス血統です。ディープインパクトもハーツクライもサンデーサイレンスにフランス系の繁殖牝馬を配合するパターンで誕生しました(詳細は単行本「血統ビーム2.0」を参照)。

 逆にいえば、ディープインパクトやハーツクライは、フランス要素のタメとキレを強化した分、父サンデーサイレンスよりもパワーは下がり、アメリカダート適性は下がっています(そうでなければ、ディープインパクトはケンタッキーダービーも楽勝できることになります)。

 つまり、ケンタッキーダービーに向く馬とは、日本の主流血統から見た場合「ディープインパクトやハーツクライにアメリカで要求される追走パワーを強化した配合馬」。

 一方、アメリカの主流血統から見た場合は「アメリカの血統馬の中では東京の芝中距離適性の高い血統馬」になります。その能力の方向性が絶妙に合う血統こそが、ケンタッキーダービーにマッチする馬を続々と出せる血統であり、その代表格が「スマートストライク血脈」なのです。

 日本の競馬から見た場合、スマートストライク血脈の個性を示す象徴的な現象は、芝マイル以上の直線スピード勝負に強い馬を続々と出すこと。日本での代表産駒ブレイクランアウト、レッドレイヴンがどちらも2歳時に東京芝1800mの重賞で高いパフォーマンスを発揮。母父スマートストライクの産駒、スターズオンアース、ストロングリターンと東京芝1600m以上のGI馬を複数輩出。そして、今年のNHKマイルCに出走するジャンタルマンタル、ノーブルロジャーの2頭の父はパレスマリス。その父父はスマートストライク。ケンタッキーダービーで重要な芝指向のスピードは、日本で走るスマートストライク血脈の影響を受けた産駒から窺い知ることができるわけです。

 なお、血統ビームの概念を知っていれば、5年以上前から、スマートストライク血脈は、日本の芝マイル以上の直線スピード適性が高いこと。よってケンタッキーダービーに向くのではないか? と類推できます。5年前に行われた2019年のケンタッキーダービーも14番人気1着カントリーハウスをウマい馬券で公開した予想で本命に推奨しました。同馬の父ルッキンアットラッキーの父もまたスマートストライク。2022年19番人気1着リッチストライク、2017年13番人気2着ルッキンアットリー、15番人気3着バトルオブミッドウェー。2018年6番人気2着のグッドマジックも父がスマートストライクの系統です。

 スマートストライク血脈の影響を強く受けた産駒が、ケンタッキーダービーへの出走は少なく、しかし人気薄で好走する馬を高い割合で出すのは構造上の理由も大きな一因にあると考えます。

 冒頭に述べたように、ケンタッキーダービーは、アメリカ競馬の中では「芝指向の直線スピード」の能力が高い次元で要求されます。前哨戦までは、それほどの直線スピードは要求されず、相反する道中パワーが問われるため、スマートストライク血脈の影響を受けた馬は能力を隠したままになってしまいます。能力を最大限発揮できないので、ケンタッキーダービーまで駒を進められない馬もいますし、駒を進めることができた馬は、今まで以上の能力を発揮するため≒人気薄で走る現象が幾度も繰り返されるわけです。

 今年のケンタッキーダービー出走予定馬で父系にスマートストライクを持つ馬は、ドーノック、ウエストサラトガ、ソサエティマン。

 なお、当然のことながら、父系がスマートストライク系でも母方の影響で、スマートストライクの個性が削がれているであろう馬はいます。あるいはスマートストライク系以外でも、芝指向の直線スピード能力が高いであろう血統馬も、他にも出走しています。詳細は最終見解の解説、議論に譲りましょう。

 そして、フォーエバーヤングもスマートストライク血脈同様、ケンタッキーダービー適性は高い血統馬。父系にはケンタッキーダービー馬のサンデーサイレンス。父リアルスティールはスマートストライク血脈が日本で最も得意とする東京芝1800m重賞の勝ち馬。

 母父はエーピーインディ系のコングラッツ。この血統は、ケンタッキーダービーでは道中パワーが勝ち過ぎて適性は下がるのですが、リアルスティールは道中パワーがアメリカでは弱い血統のため、アメリカ適性を強化する配合になります(その分、日本のトップレベルの芝適性はやや下がります)。冒頭に述べたように、フォーエバーヤングは「ディープインパクトにアメリカで要求されるパワーを強化した配合馬」なのです。一度フランスに偏ったサンデーサイレンスの能力の方向性を母方から高いレベルのアメリカ血統を強化。アメリカ寄りに揺り戻した配合ともいえるでしょう。

 フォーエバーヤングの能力の方向性は、ケンタッキーダービー出走馬の中でもトップクラスだと予想します。ポイントになりそうなのは、前走UAEダービー好走組は人気になって、惨敗するケースがあまりにも多いこと。それも踏まえて克服してくれるのが、矢作調教師のチームだとも期待しています。今年も日本の馬券ファンとともにアメリカのダービーを楽しめる機会を与えてくれたことに拝礼して、最も偉大な2分間を楽しみに待ちます。

著しい成績を挙げ、殿堂入り予想家となった亀谷敬正のケンタッキーダービー予想はレース当日までにウマい馬券で公開!

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
ウマい馬券にて『血統ビーム』の予想提供中

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