netkeiba.com 楽天

netkeiba.com > 07年ブリーダーズゴールドジュニアC特集 > 五十嵐冬樹騎手インタビュー


五十嵐冬樹騎手インタビュー

 コスモバルク国際G1制覇の秘話、ホッカイドウリーディングジョッキーの悩みとは? 競馬総合チャンネル 地方競馬コース『井上オークスの地方見聞録』から五十嵐冬樹騎手のインタビューを特別無料公開!(取材日:06年6月)

インタビューphoto

■嬉し恥ずかしのガッツポーズ

井上:
コスモバルクにとって、04年9月のセントライト記念以来の勝利でした。シンガポール国際C制覇、本当におめでとうございます!
五十嵐:
ありがとうございます(ニッコリ)。
井上:
レース前、自信はありましたか?
五十嵐:
チャンスはあると思っていましたが、勝てるという自信はなかったですね。地元の評価は高かったけど、バルクとシンガポールの馬の力を比較する手段がありませんからね。折り合い次第というか、レースの流れ次第で、良いほうにも悪いほうにも転ぶだろうと思っていました。
井上:
どんなところに気を配ってレースに臨まれたんでしょうか。
五十嵐:
「バルク自身の競馬に徹する」だけでしたね。
井上:
道中は2番手をキープ。残り1ハロンのところで満を持して先頭に立つと、そこからもうひと伸び。めちゃめちゃ感動しました。五十嵐騎手のガッツポーズも、すごくよかった!
五十嵐:
やっちゃいましたね(笑)。映像を何回見ても恥ずかしくなりますよ。
井上:
なぜ!?
五十嵐:
ガッツポーズも恥ずかしいし、フォームも恥ずかしい。見れば見るほど恥ずかしくなります。もう、最後の追い方はバラバラでしたね。
井上:
そんなふうには見えませんでしたが…?
五十嵐:
自分のなかでは、納得のいく追い方じゃなかったんです。最後は無我夢中で、気力だけで追っていました。「ここまで来たんだから、なんとか残ってくれ」って。それだけに、勝ちを確信したときは、ああいう派手なガッツポーズが出てしまった(笑)。
井上:
喜びが爆発したんですね。
五十嵐:
もちろん国際G1を勝った嬉しさもありますが、それよりも「やっとバルクを勝たせてあげられた」という気持ちのほうが強かったですね。
井上:
さまざまな出来事を乗り越えて掴んだ勝利ですもんね。
五十嵐:
いろんな想いをしながら、あの馬に乗ってきましたからね。最高の喜びでした。

■高岡調教師のバックアップ

井上:
五十嵐騎手ご自身は、シンガポールでの騎乗は初めてだったんですよね。不安はありましたか?
五十嵐:
僕は暑いのがダメなほうなんで、体調面を心配していました。
井上:
シンガポールの気温って、30度を超えるそうですね。大丈夫でした?
五十嵐:
暑かったですねえ。でも、意外と大丈夫でした。建物の中は、寒いくらいに冷房が効いていたんですよ。そのぶん外の気温と室温のギャップが激しいんですけど、体調を崩すことなく過ごすことができました。そして、高岡秀行先生のご協力は、すごく力になりましたね。
井上:
北海道競馬からシンガポールへ移籍した高岡調教師から、当日の第4レースに出走するタキノビッグへの騎乗依頼を受けたんですよね。
五十嵐:
はい。あのレースに乗せていただいて、本当によかったと思います。
井上:
コースの状態を確認したり?
五十嵐:
そうですね。あと、向こうの乗り役のレースの進め方というか、流れの雰囲気を体感することができた点も大きかった。「誰がどんな競馬をする」とまでは覚えきれないですけど、少しでも自分で触った競馬には、安心して乗れますからね。
井上:
なるほど! 快挙の陰には、シンガポールで奮闘する仲間のバックアップがあったんですね。
五十嵐:
これがまた、仮に1400mのレースに乗っていたとしたら、全然違いますしね。メインレースと同じ2000mの1番枠だなんて、最高の場を用意していただきました。
井上:
あっ、バルクも1番枠だったんですよね! なんか、不思議な力を感じます。
五十嵐:
ホント、不思議ですよね。結果論ですけど、もし日経賞(8着、06年3月25日、中山)で好走していたら、シンガポールに行ってなかったでしょうしね。
井上:
あっ、出走権を取れていれば、春の天皇賞に出走していたんですよね。
五十嵐:
ええ。日経賞がああいう形になって、「じゃあシンガポールで走らせよう」って決断なさったオーナーサイドもすごいと思います。
井上:
ファンとしては、「五十嵐騎手の手綱で、バルクが勝った」というのが、輪をかけて嬉しかったです。
五十嵐:
僕はすごく運がいいんですよ。
井上:
運ですか?
五十嵐:
クラシックで全然ダメで、結果を出せなくて。普通なら、もう乗せてもらえないですよ。それが、「ホッカイドウ競馬の馬だから」ということで、再びチャンスをいただいて。ホント、運がいいなって思っています。
井上:
いや、運ではないのでは…。
五十嵐:
いやいや、僕は腕のないジョッキーですから。上手いジョッキーは、一杯いますから。僕をバルクに乗せてくださった関係者のみなさんには、心から感謝しています。