netkeiba.com 楽天

netkeiba.com > 07年ブリーダーズゴールドジュニアC特集 > 五十嵐冬樹騎手インタビュー


五十嵐冬樹騎手インタビュー

 コスモバルク国際G1制覇の秘話、ホッカイドウリーディングジョッキーの悩みとは? 競馬総合チャンネル 地方競馬コース『井上オークスの地方見聞録』から五十嵐冬樹騎手のインタビューを特別無料公開!(取材日:06年6月)

インタビューphoto

■ウマピロプラズマ病?

井上:
シンガポール国際Cが終わって、五十嵐騎手は先に北海道に帰られたんですよね。
五十嵐:
ええ、帰ってすぐに競馬に乗っていました。
井上:
国際Cが5月14日で、16日は北海道競馬の札幌開催日でしたもんね。
五十嵐:
パドックで、「よかったなあ」とか「よくやった!」とか、いろんな声援をいただきました。で、最終レースが終わって帰ろうとしたら、ある人から「バルクに陽性の疑いがかかって、シンガポールから帰って来れないらしい。最悪の場合は…」という話を聞いたんですよ。まだ報道される前だったんですけど、確かなルートからの話だったんで、「えーっ」って思って。
井上:
ウマピロプラズマ病という伝染病に感染している恐れがあって、検疫に引っかかっただなんてビックリですよね…。
五十嵐:
衝撃を受けたまま、調整ルームのある門別に帰るためにバスに乗ったんですよ。そのバスのなかで、「バルク陽性の疑い」というテレビのニュースを見たんです。
井上:
うわあ。
五十嵐:
先に知ってたこととはいえ、ねえ。
井上:
ショックですよね、そんなの。
五十嵐:
それからいろいろな情報が入ってきて、「大丈夫だろう」という話もあったんですが、正式な検査結果を聞くまでは、やっぱり信じられませんでした。
井上:
報道機関によっては、「処分される」だなんてことも書いてあったりして…。
五十嵐:
ねえ。それと、検疫に関する取材を受けたあとに、喜びのコメントを求められたのには困りました(苦笑)。
井上:
拷問ですね。
五十嵐:
僕だけでなく家族も沈んじゃって、家の中が葬式でしたね。暗ーくなっちゃって。うちの娘なんか、泣き出しちゃって。
井上:
娘さんはおいくつですか?
五十嵐:
4つです。「おまえわかって泣いてんのか」って(笑)。
井上:
あはは。なんて笑っていられるのも、24日にイギリスで正式な検査結果が出て、陰性が判明したからこそですね。
五十嵐:
「シロ」という話を聞いたときには、スカッ! としましたね(笑)。勝ったことを、改めて喜べました。
井上:
その後、息子さんがお生まれになったんですよね。
五十嵐:
はい、6月1日に生まれました。
井上:
二重、三重の喜びですね!
五十嵐:
そうですね。いいこと続きですね。このあと誰かに崖から突き落とされるんじゃないかな、なんて(笑)。

■勲章に恥じない競馬を

井上:
ご冗談を(笑)。ともかく、紆余曲折を経て、バルクと五十嵐騎手は宝塚記念(6月25日、京都)に出走します。
五十嵐:
検疫にひっかかったことで帰国が延びて、「厳しい、辛い」といわれていますよね。実際、短い期間で調整を行わなければならないから、馬に負担がかかっているかもしれません。でも僕は、肉体的な面はそんなに辛くないんじゃないかと思っているんですよ。
井上:
おおっ。
五十嵐:
というのは、ウマピロプラズマ病の検査結果が出るまで一週間以上の間、引き運動しかできていないんですよね。バルクにしてみれば、レース後にここまで楽に過ごせたのは、たぶん今回が初めてなんじゃないかな。
井上:
そうか。バルクはレースを終えて北海道に戻ったら、すぐに外厩のビッグレッドファームに入って厳しいトレーニングをこなしてきたんですよね。
五十嵐:
レース後はいつも数日休んだだけで、坂路を上がっていると思うんです。だから引き運動だけで来ている今回は、逆に体の疲れがないんじゃないかな、と。
井上:
バルクにとって、いい骨休めになったんですね!
五十嵐:
まあ、そういうふうに捉えたい気持ちもあって(笑)。
井上:
「災い転じて福」となればいいですね。
五十嵐:
ただ、これまでは強い調教を受けて競馬に臨んできた馬が、京都競馬場の馬場を一頭だけで回って調整しているんで、その違いがどう出るかが気になります。坂路もないですしね。それと、ずっと一頭で過ごしているんで、メンタル的な面は特に気になりますね。
井上:
う〜ん、今回のハンデは、やっぱりかなり大きいですよね。でも、「いろんなハンデを乗り越えて勝つ」のが、コスモバルクだから…。
五十嵐:
まあ、本当に強いディープインパクトが出てきますから、勝ち負け云々は別としても…バルクも勲章をしょって帰ってきてるんでね。それに恥じない競馬をさせてあげたいですね。