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netkeiba.com > 07年ブリーダーズゴールドジュニアC特集 > 小枝佳代アナウンサーインタビュー


小枝佳代アナウンサー Part1

 日本で唯一の女性競馬実況アナウンサー・小枝佳代さん。実況の道を歩み始めた当時のお話や、声にまつわる秘話を語ってくださいました!

インタビューphoto

■なに考えてるんだ?

井上:
小枝さんが実況アナウンサーを始めたきっかけって?
小枝:
まだ帯広競馬場でホッカイドウ競馬のレースが行われていたときに、馬紹介や配当金をアナウンスするアルバイトをしていたんです。で、ホッカイドウ競馬の実況をしていた稲垣聖(故人)さんに、「実況をやってみないかい?」と誘われて。
井上:
それですぐに「やってみよう」と?
小枝:
いや、最初は「このオジサン、なに考えてるんだろう。できるわけないじゃないか」と思いました(笑)。
井上:
やはりアナウンスと実況は違いますか。
小枝:
全然違いますね。当時、放送局のアナウンサーだった井口保子さんは競馬の実況をしていましたし、アルバイトの女性が実況をしている競馬場もあったんですけど、職業として競馬の実況をしている女性はいなかったんですよ。だから「チャレンジしてみようかな」と思って。
井上:
なるほど。
小枝:
それから4か月間は練習、練習でした。1Rから最終Rまでの実況をテープに撮ったものを師匠の稲垣さんに聴いてもらって、アドバイスしていただいたりしました。開催日に放送室の脇で練習していると、常連のオジサンが「がんばれよ〜」なんて言って、のど飴くれたりして(笑)。
井上:
16年前です。遠い昔の話(笑)。

■初陣はハチャメチャ!?

井上:
16年前というと、競馬に携わる女性はまだ少なかったですよね。
小枝:
私が実況を始めた頃、競馬の世界は完全に男社会で閉鎖的なところがありました。実況の上手下手よりも、女性というだけでシャットアウトされることもありましたね。ただ、年月と共にだんだん認められてきて、いまは全然平気になりました。
井上:
小枝さんの初陣はいかがでしたか?
小枝:
ハチャメチャでした(笑)。初めて女性の競馬実況アナウンサーがデビューするということで、TV局や新聞社の取材がたくさんきてくださったんです。だから余計に舞い上がったし、緊張しましたね。レース後、師匠には「40点」と言われました(笑)。
井上:
あらー。
小枝:
デビューして10年を過ぎた頃だったかな? ブリーダーズゴールドCを初めて実況したときも、緊張しましたねえ。
井上:
夏の名物交流重賞ですね。今年は8/16に行われます。
小枝:
このレースは、私が女性ということもあって、ずーっと喋らせてもらえなかったんです。
井上:
それが晴れて解禁されたとなると、おのずと注目が集まって緊張感が…。
小枝:
事情をわかっているファンの方から「がんばってね」というメールをいただいたりしたんですよ。これは励みになりましたね。

■「ソ」から「ド」に下げよう

井上:
本師匠の稲垣さんからは、どんなことを教わったんですか?
小枝:
ホッカイドウ競馬では、「テレホン実況サービス」がいち早く始まったんです。だから場内でレースを見ている人だけでなく、電話を聞いている人のことを考えるように言われました。
井上:
いきなり高いハードルが!
小枝:
見て、考えて、すぐに喋る。的確に描写することを心がけて。といっても、間違えると、実況しながら「あ、違ったな」って反省しちゃう。「反省しちゃダメだ」って、よく怒られました。「後に引きずるから、スパッと切り替えろ」と。
井上:
文章なら何度も書き直せるけど…。
小枝:
そうですね。実況では、一度言ってしまったことを、消しゴムで消すことはできません。厩舎の方に怒られたこともあるし、ファンの方から苦情が来ることもある。逆に褒めてもらえることもあります。いつまでやっても「100点」はないですね。
井上:
うう、想像しただけで卒倒しそうです。
小枝:
それと、最初の頃は実況のトーンがすごく高かったんですよ。レースが進むうちにだんだん力が入ってきて、ゴールの頃には甲高い金切り声みたいになっていた。それで「これではいけない」と試行錯誤をしているときに、スタート時の声のトーンを下げればいいことに気がついたんです。「五線譜でいえば「ソ」の音からスタートしていたのを、「ド」の音にすればいいわけだ」って。
井上:
小枝さんのクールな実況の秘密はそこにあるんですね。「この仕事をしていてよかった」と感じるのはどんなときですか?
小枝:
競馬を通じて、いろんな人との出会いがありました。アナウンサーフェスティバルや女性ジョッキーのレースのときに色々な競馬場に行って、全国各地の人と知り合えたことが、大きな宝になっていますね。