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山口竜一騎手インタビュー

 宇都宮競馬(05年3月廃止)から道営へ移籍して早2年半、北の大地に旋風を巻き起こした中年ジョッキーの星“ヤマリュウ”こと山口竜一騎手に、丸裸になっていただきます!?(取材日:07年7月)

インタビューphoto

■1日10分の夫婦の会話

山口:
北海道に来て2年半になるけど、女房と会うのはお正月休みのときだけ。年に2、3日なんですよ。もう、女房の顔を忘れちゃうよ(笑)。
井上:
えーっ! 電話はなさっているんですか?
山口:
はい。非開催日は毎日10分くらい話しています! 競馬の話はしないですね。毎日、「帰ってきていいよ」って(笑)。
井上:
そうなんだ〜。優しい奥様ですね〜。
山口:
これだけ離れてるから、それくらい言わなくちゃね。夫婦ってそんなもんだよ(笑)。でも…うちで犬を2匹飼ってるんですよ。これがまた2匹ともかわいいんだけど、女房に「俺と犬とどっちがかわいい?」って訊くと、「犬に決まってるでしょ」って。即答だからね(笑)。
井上:
ラブラブですね(笑)。お子さんは?
山口:
高校1年生と中学3年生。ふたりとも男の子です。顔はまったく俺に似てないんですよ。女房似ですね。子供達も「よかった」って言っています(笑)。
井上:
あはは! 騎手候補生時代の山口さんの写真を拝見したことがあるんですが、ぜんぜん変わってないですね。いまと同じ(笑)。
山口:
そうですか? 心は青年だからね(笑)。

■もっと道中で工夫しなくちゃ

井上:
ところで、「最近あまり調子がよくない」と感じていらっしゃるそうですね。コンスタントに勝ち星を挙げているのに、何故?
山口:
う〜ん、それは馬の力で勝っているのであって。納得できるレースがないんですよね。
井上:
納得いかないレースで勝っても嬉しくないものなんですか?
山口:
負けるよりは嬉しいかもしれないけど、やっぱりこれからは「内容の問題」ですよね。
井上:
内容、ですか。
山口:
この年齢になると、追い比べをすると負けてしまうんですよね。それをどこかでカバーしなくちゃいけないのに、上手くカバーできていないように感じるんですよ。
井上:
乗り方は年齢と共に変わっていくものなんでしょうか。
山口:
ええ。ここ2、3年は本当に「ああ、追って追えないな」と思う。だからもっと道中を工夫して乗らなくちゃ、若い子に負けてしまいます。ひとつのレースで馬を追うときに使う体力は、200mを全力疾走するときに必要な体力とだいたい同じだと思うんですよ。だけど年を取ると200m目一杯走ることはできないから、「150mでどうやって勝負するか」ということになってきますよね。

■経験とイメージ

井上:
事前に戦法を考えてレースに臨むタイプですか。
山口:
考えるけど、ゲートに入ればいったん頭の中を真っ白にします。いくら考えていても、スタートで出遅れたり出負けしたりつまづいたり、いろんなことがあるからね。まず最初にやらなくちゃいけないことは、「ゲートから普通に出すこと」です。
井上:
奥深い…。最近の「会心の勝利」を教えてくださいますか。
山口:
最近は…会心の勝利はないですね。ただ、負けたレースで「やったぞ」というレースはありました。クイックマリで2着だったレース(7/17旭川9R、ペガスス特別)です。
井上:
そのレース、拝見しました。道中は中団の後ろあたりの位置取りで、直線でグングン追い上げていって。
山口:
あれはイメージ通りでしたね。いつも何十通りのレース展開をイメージして乗るわけですけど、あのレースでは一番最初にイメージしたレース展開がピッタリハマッた。鳥肌が立ちましたね。でも、結果が2着なのね(苦笑)。
井上:
ハナ差の2着でしたよね。
山口:
だから悔しかったけど、納得のいくレースでした。ゲートをポーンと出たときの手応えからイメージ通りだったから。「100点をつけられるレースだな」と思いましたね。
井上:
それにしても、レースごとに何十通りものイメージを描いていらっしゃるなんて凄い!
山口:
レース前に抱くイメージは3つか4つなんですよ。あとのイメージはゲートを出てから。ゲートを出たときの手応えや感触、周りの動きといままでの経験が合わさって、フラッシュバックのように「ガンッ!」と入ってくる。そして自然に体が反応するんですよ。だって、レースだけでも1万6000回くらい乗っているでしょう。いくら鈍感な体でも覚えてる(笑)。

■ダービー男の秘密

井上:
レース後にビデオをチェックして反省なさるタイプですか。
山口:
反省は毎日ですね。ただ、自分の場合は納得のいかなかったレースをチェックして反省するよりも、いいレースを見て「よしっ、明日もこのイメージで!」と気持ちを切り替えることのほうが多いんですよ。
井上:
いろんな意味で「イメージ」を大事になさっているんですね。ところで、山口さんは大レースに強い! 宇都宮時代に北関東のダービーを4回勝っていることから「ダービー男」という異名を持っていらっしゃって、昨年も「札幌ダービー 北斗盃」をフジノダイヒットで制覇なさった。
山口:
なんかダービーには縁があるみたいですね。ただ、大きなレースだからといって特別な気持ちで挑んでいるわけではないんですよ。ダービーも第1レースも、同じ気持ちで乗っています。
井上:
えっ、そうなんですか。
山口:
厩舎関係者のみなさんが競馬に臨む姿勢は、大きいレースでも小さいレースでも同じだと思う。だから賞金が安くても高くても、一生懸命乗りますよ。