山口竜一騎手インタビュー
宇都宮競馬(05年3月廃止)から道営へ移籍して早2年半、北の大地に旋風を巻き起こした中年ジョッキーの星“ヤマリュウ”こと山口竜一騎手に、丸裸になっていただきます!?(取材日:07年7月)

■楽しく乗ってます
- 井上:
- 「山竜が来てから、道営のレースが面白くなった」という声があちこちから聞こえてきます。そしてまた、昨年は重賞を勝ちまくられましたね!
- 山口:
- 勝って当然の馬に乗せていただいたんだと思います。それに、落としたレースも結構あったんですよ。マークもだんだんキツくなってきましたしね。
- 井上:
- 逃げようとしたら競りかけられたり?
- 山口:
- そうそう。ゲートをポンと出て内に入ると、バッと周りを囲まれて「うわ〜、どうしよう〜」となったり。そうしたマークを逆手にとってダメなふりをすることもあります。で、みんなの気がフッと抜けたときにサーッと行ってみたり。
- 井上:
- 熟練の駆け引きだ!
- 山口:
- それで勝つと気持ちいいですよね。「打開策があるんじゃないか」と考えるのも楽しいんですよ。たとえば、逃げ馬じゃないのにバーンと行って、他の馬より2馬身くらい前に出る。するとマークされているから、みんながくっついて来てペースが速くなるんですよ。そのときにスーッと抑えて、3、4番手まで下げちゃうの。
- 井上:
- 騎乗馬の脚を温存しながら、他馬に脚を使わせちゃうんですね。
- 山口:
- やっぱり、いつも同じことをしてもダメ。いろいろやってみなくちゃ。常にみんなより強い馬に乗るわけではないですしね。
- 井上:
- なるほど。
- 山口:
- 逆にこんなときもあります。ガンガン追っていってハナを切り、みんなに「ペースが速いんだな」と思わせておく。だけど実はペースを落としていたりするんですよ。オーバーアクションでペースを速く見せているわけです。
- 井上:
- それでまんまと逃げているときの心境は…?
- 山口:
- 「しめしめ」って(笑)。騎手ってけっこう、楽しく乗っているところがあるんですよ。
■全部の夢が叶っちゃった
- 井上:
- これまでジョッキーをなさってきて、一番印象に残っている馬を教えてください。
- 山口:
- ジンクライシス(牡6、堂山芳則厩舎)ですね。もう本当に「騎手を辞めてもいいな」と思えるような馬に乗せてもらいました。
- 井上:
- えっ!?
- 山口:
- 去年の夏、エルムS(札幌、ダ1700m、2着)の直前の、公開調教の追い切りに乗ったんですけど、1000mを60秒くらいで上がってきたんです。トップスピードに乗ったとき、普通は抑えるんだけど抑えなかった。「この感触、もう二度と味わうことができないかもしれない」と思うともったいなくて。いまだかつて味わったことのないスピード感だったんですよ。
- 井上:
- レースではなく、調教の走りが一番印象深いだなんて…すごく意外です。
- 山口:
- そのとき、「いつでも馬を降りられるな」と思いましたね。自分が北海道に来た理由のひとつは、「本当に力のある馬に乗りたい」という気持ち。騎手になったからには、やっぱり強い馬に乗らなくちゃ。そうでないと悔いが残るから。
- 井上:
- 騎手としての本能が、強い馬を求めたんですね。
- 山口:
- いまはもう、いつでも悔いなく降りられますよ。だって、北海道に来たら、いろんな夢が夢じゃなくなっちゃったんだもん。現実になっちゃったんだもん!
- 井上:
- おおっ。
- 山口:
- 中央競馬で1勝を挙げること、芝のレースで勝つこと、地方の馬で中央に挑戦して勝つことが、多くの地方騎手の夢なんですよね。その3つの夢も、去年1年で全部叶えられちゃったんだから。
- 井上:
- 道営の田部和則厩舎に所属していたインパーフェクト(牡3、現在は美浦・畠山重則厩舎所属)でラベンダー賞(函館、芝1200m)を勝ったのが、山口さんにとって中央初勝利ですもんね。
- 山口:
- 嬉しかったですね。あの馬に乗せてもらったことに、すごく感謝しています。
- 井上:
- 夢が叶ってよかった。でも、まだまだ騎手を続けてくれますよね…?
- 山口:
- うん、だから今度は「夢探し」ですよね。これからどういう目標を持ってやっていくのか、それが一番の課題です。
■ディラクエで挑むBGJC!
- 井上:
- 特に期待をかけていらっしゃる2歳馬は、どの馬ですか。
- 山口:
- ディラクエ(牡2、成田春男厩舎)に期待しています。まだ未完成な部分が多いんですけど、完成されたときにはいいところまで行くんじゃないかと思うんですよ。エックスダンス(牡2、廣森久雄厩舎、3戦3勝の無敗馬だが、骨折により休養中)は「違反だぞ」と言いたくなるくらい強いけど(笑)、ディラクエもこれから成長を遂げれば引けをとらないんじゃないかと思います。
- 井上:
- ディラクエは新設重賞のBGJC(8/30)に出走予定ですね。楽しみにしています!
- 山口:
- はい。負けジョッキーにならないように頑張ります(笑)!
■取材後記
対談の序盤は、「なんて面白いオジサマだろう…」と舌を巻いてしまった私。しかし2時間に及ぶ対談が終わったときには、なんだか心がシンとしていました。単身赴任の寂しさを味わいながら騎手という職業を続け、一戦一戦に全力で挑む山口騎手は、心の底から馬乗りに魅せられているのではないかと思うのです。
競馬総合チャンネル 地方競馬コースで連載中の「井上オークスの地方見聞録」では毎週、地方競馬の騎手、調教師などにインタビュー! レースや馬の話はもちろん、プライベートなお話まで聞いちゃいます!
メニュー/検索→趣味/娯楽→競馬/競輪/競艇→競馬総合チャンネル
カテゴリで探す→趣味・娯楽→懸賞・くじ・ギャンブル→競馬→競馬総合チャンネル
メニューリスト→趣味・レジャー→競馬・公営競技→競馬総合チャンネル


