
ライスシャワー、ブラックタキシードでダービーに参戦し、騎手としても一流馬に接してきた的場均調教師、ペールギュント、ローゼンクロイツを育て上げ、自らもダービーに参戦する橋口弘次郎調教師。二人のホースマンが、そのディープインパクトの強さを語る!
的場均調教師
1957年3月25日、北海道生まれ。1975年騎手デビュー。グラスワンダーで98年、99年有馬記念を、ライスシャワーで93年、95年天皇賞(春)など数々のG1を勝利。01年騎手を引退。02年調教師デビュー。 |
一流の競走馬に必要な条件を満たしていると的場師
皐月賞の装鞍所、パドックに足を運び、ディープインパクトを間近でチェックした的場均調教師。その強さの秘密は「高性能エンジンを生かし切る性格の良さ、明晰な頭脳」だと語る。
「涼しげな目で実にいい顔をしている。こういう馬は頭が良く、性格がいい。一流の競走馬には絶対に必要な条件だ」。強じんな心臓を持っていても精神的弱さなどから大成できない競走馬は多い。だが頭のいいディープインパクトは、人間を信頼し、調教、レースの意味を理解しており、稽古や競走を嫌がることがない。だから稽古を積んでさらにエンジンは強くなる。強くなるから、さらに稽古が楽になっていく。最強馬が出来上がるための好循環に入っているのだ。「調教もレースも彼にとって全く苦になっていない。まだまだ余裕があるんだ」。
「三冠いや、五冠、七冠の可能性も。それほどの素材だ」
さらに的場師は、体が小さいことも全く関係ないという。現役騎手時代、440kgそこそこの馬体でG1を3勝したライスシャワーとコンビを組んでいた言葉には重みがある。「モマれた時にどうか、などと言われているが、体が小さいからモマれた時に苦痛だということはない。これほど能力の高い馬なら、たとえ体が小さくても馬群の中で他馬に威圧感を与えることができる」。これまで馬群で競馬をしたことがないディープインパクトだが、 たとえモマれても、むしろプラスに作用するかもしれないというのだ。
「ディープインパクトに威圧感を与えられるとすれば、シンボリルドルフ、トウカイテイオー、シンボリクリスエス。このクラスの馬。普通の馬には難しい」。的場師の評価は、すでに殿堂入りするような馬と同等のレベルに達している。 「とにかくスケールが違いすぎる。武(豊)君も乗っていて楽だろう。三冠?故障さえなければ五冠でも七冠でもいくよ。それほどの素材」。的場師はダービー制覇どころか、その先までも最強伝説は続くとみている。
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橋口弘次郎調教師
1945年10月5日、宮崎県生まれ。90年には、最多勝利調教師、優秀技術調教師として、JRA賞を、また過去10回「優秀調教師賞(関西)」を受賞するなど、トップトレーナーとして活躍。代表管理馬にはダンスインザダーク、ザッツザプレンティなど、多数のG1ホースを輩出している。 |
記者のみんながグリグリ(◎)を付けるのが分かるよと橋口師
皐月賞ではペールギュント、ローゼンクロイツの2頭で打倒ディープインパクトに挑んだ橋口弘次郎調教師だが、結果は完敗だった。「まともに競馬されたらかなわないと思っていた。ただ、まぎれのあるコースだから、わずかでもチャンスはあるかと思っていたが…しんどかったね」。
ディープインパクトの調教、レースを見て橋口師は重賞5勝を挙げた管理馬ロサードを思い出したという。「ロサードはゴムまりのような弾む走りをした。小さい体を全身を使って生かし切るイメージだね。トップギアに入った時の迫力は素晴らしく、馬体の小ささを感じさせなかった。ディープインパクトからも同じ印象を受ける。よく似ているよ」。
ロサードは420〜430kgの小柄な馬体で息の長い活躍を続けた。父サンデーサイレンスで、母系にはリファールが入っている血統背景も似ている。ロサードをグッとスケールアップさせたような馬と橋口師はとらえているようだ。
「いやー、ディープインパクトは本当に素晴らしい走りをする。記者のみんながグリグリ(◎)付けるのがよく分かる」。的場師同様、橋口師も最大級の賛辞を贈った。(取材・文/スポーツニッポン 鈴木 正) |