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追悼ノーザンテースト
幼いころから心を知り合った友。師友と仰ぐほど世話になった友。私に人生が何たるかを教えてくれた友。そんな大切な友を、失った気分でいる。
ノーザンテーストが初年度産駒を送り込んだのは、私がちょうど競馬にのめり込み、血統に興味を持ち始めていたときだった。
だから、なんだか一緒に「競馬学校」「血統学校」に入学したような思いが強い。卒業後もずっと、ともに人生を歩み、時に喧嘩し、時に憎み、時に笑い、時に語り合ってきたような感じである。
テスコボーイとも違う。パーソロンとも違う。それまで日本で大成功した他の種牡馬とも、まるでタイプが違う。その衝撃といったらなかった。
11年連続での中央競馬リーディングサイヤー、産駒の20世代連続の中央競馬重賞勝ち…。いったいどれだけの種牡馬記録を更新したことだろう。
産駒が走り始めたころ、その見栄えのしない馬体に驚いたものだ。小ぶりで首も脚も短く、胴はずんぐり。まるで道産子だった。すらりとした流れるような従来の理想の体型とはほど遠かった。
ところが、そんな産駒たちが、ダートも力のいる馬場も平気でこなした。2歳戦で活躍する仕上がりの早さがありながら、3歳や古馬になっても活躍し続けた。泥んこ馬場にも夏の暑さにも強く、しかも丈夫だった。
本質的にはマイラーで、決してスタミナ豊かではなかった。だが、持ち前の勝負根性で長距離までもこなした。この新種血統ともいうべきノーザンテーストに、従来の価値観、血統常識が次々と覆された。
クラシック馬の数とか、記録に残るスケールでは、サンデーサイレンスがもちろん上だろう。けれども、わが心に残る受けた衝撃のスケールの大きさでは、ノーザンテーストに軍配があがる。思い出をありがとう。いつまでも大事にしまっとくよ。合掌。
吉沢譲治
血統評論家。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で98年JRA馬事文化賞受賞。最新刊に「最強の血統学」、他に「競馬の血統学2〜母のちから」「最強馬伝説」「サラブレッド血統事典」など著書多数。競馬総合チャンネルで「血統コラム」を担当。
【総合チャンネルでは毎週、吉沢氏のコラムを配信しています
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