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フランスで注目の3歳戦が開幕!A.オブライエン厩舎が送る無敗の超良血馬が人気に

  • 2024年05月08日(水) 12時00分

強力な2頭を地元勢が迎え撃つ


 今週末の日曜日(12日)には、パリ郊外のロンシャン競馬場で、フランスにおける3歳牡馬と牝馬の三冠初戦となるG1プール・デッセ・デ・プーラン(芝1600m)と、G1プールデッセデプーリッシュ(芝1600m)が行われる。

 仏国版の2000ギニーに相当するプール・デッセ・デ・プーランで、ブックメーカー各社が前売りで1番人気に推しているのは、アイルランド調教馬のヘンリーロングフェロー(牡3、父ドバウィ)である。クールモアによる自家生産馬で、2歳時だった15年、3歳だった16年と2年続けてカルティエ賞牝馬チャンピオンに選ばれたのみならず、英国3歳二冠を含めて7つのG1を制し、16年にはカルティエ賞年度代表馬にも選出されマインディングの2番仔という、超がつく良血馬ヘンリーロングフェローだ。

 A.オブライエン厩舎から2歳7月にデビュー。カラ競馬場のメイドン(芝7F)を制しデビュー勝ちを飾ると、続くカラ競馬場のG2フューチュリティS(芝7F)も制し重賞初制覇。さらに同じくカラで行われたG1ナショナルS(芝7F)を5馬身差で快勝。無敗のG1制覇を果し、2歳シーズンを終えている。

 これだけ卓越した成績を収めると、通常であれば、3歳初戦のターゲットにするのは5月4日にニューマーケット競馬場で行われるイギリスの2000ギニーになるのだが、競馬ファンの皆様ならご存知のように、オブライエン厩舎の3歳世代には、ヘンリーロングフェローと同じく2歳時に3戦して、G1デューハーストS(芝7F)を含む無敗の3連勝を飾ったシティーオブトロイ(父ジャスティファイ)という俊才がいた。陣営としては、いずれはシティーオブトロイとヘンリーロングフェローが顔を合わせる機会が来るにしても、シーズン開幕当初は使い分けをしたいと考えるのが人情で、そこでヘンリーロングフェローをフランスの2000ギニーにぶつけることになったものだ。

 オブライエン師は、ヘンリーロングフェローがここで首尾よく勝利を収めれば、次走は6月2日にシャンティイ競馬場で行われるG1仏ダービー(芝2100m)に向かいたいとしている。オブライエン厩舎としては、21年のカルティエ賞年度代表馬セントマークスバシリカが、その年の春先に辿ったルートである。

 オブライエン師はさらに、プール・デッセ・デ・プーランに二の矢を送り込もうとしている。2歳だった昨年、6戦して、G1BCジュべナイルターフ(芝8F)を含む2勝をあげたアンクエスチョナブル(牡3、父ウートンバセット)を、ここに投入する予定なのだ。

 フランス生まれで、祖母クライングライトニングがG3スイートソレラS(芝7F)2着馬という血統背景を持つ同馬。アルカナ8月1歳市場にて34万ユーロ(当時のレートで約4692万円)で、クールモアとアルシャカブのパートナーシップで購買されている。デビューしたのは2歳5月で、デビュー2戦目となったカラ競馬場のメイドン(芝1200m)を制して初勝利。その後は重賞での入着が3回続いた後、G1BCジュべナイルターフを制した。

 強力なオブライエン勢を迎え撃つ地元の代表格となるのが、4月14日にロンシャン競馬場で行われたG3フォンテーヌブロー賞(芝1600m)を制し、今季の成績を2戦2勝とした、C.ヘッド厩舎のラマダン(牡3、父ルアーヴル)である。

 一方、フランス版の1000ギニーに相当するプール・デッセ・デ・プーリッシュ。ブックメーカーによる前売りでは、地元フランス調教のルイーズプロクター(牝3、父シユーニ)が1番人気に推されている。

 J・C.ルジェが管理するルイーズプロクターは、仏国産馬。ヴィンセント・ヴィオラ氏のセント・エリアス・ステーブルスによる生産馬で、アルカナ8月1歳市場にて、ピーター・ブラント氏のホワイトバーチファームの代理人に36万ユーロ(当時のレートで約4968万円)で購買されている。2歳5月にデビュー。サンクルー競馬場のメイドン(芝1200m)を制しデビュー勝ち後、7カ月の休養をはさんで出走したドーヴィル競馬場の条件戦(AW1300m)を制し連勝。今季初戦となったのが、3月28日にシャンティイ競馬場で行われた条件戦(AW1400m)で、ここを3馬身差で制し無敗の3連勝を飾っての参戦となっている。

 今週末は、フランスの3歳戦にご注目いただきたい。

 なお本稿は、出走馬確定前に書いているため、御紹介した馬が回避した場合は、平にご容赦願いたい。最終的な出走馬については、主催するフランスギャロのサイトGroup 1 races | France Galopで御確認いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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